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妊活・不妊

妊娠報告がつらいときの返し方と距離の取り方

公開 約14分で読めますかぞくる編集部

友だちや家族、職場の人から妊娠の報告を受けて、心がずしんと重くなった。笑顔で「おめでとう」と言ったあと、ひとりになってから涙が出た。そんな自分を「心が狭いのでは」と責めていませんか。

先に結論をお伝えします。妊娠報告がつらいと感じるのは、妊活中・不妊治療中・流産のあとの人にとって、めずらしくない自然な反応です。 相手を祝えないことは、あなたの人間性の問題ではありません。自分の願いが叶っていない痛みが、大切なものであるほど強く出ているだけです。この記事では、その場の返し方、距離の取り方、SNSとの付き合い方、パートナーへの話し方を、具体例といっしょに整理します。

この記事でわかること

  • 妊娠報告がつらい、喜べないのが「ふつう」といえる理由
  • 妊活中・不妊治療中・流産後など、状況ごとのつらさの違い
  • 報告を受けたその場で使える返し方の例
  • 会う・会わないの距離の取り方と、SNSとの付き合い方
  • パートナーに気持ちを話すときの伝え方と、頼れる相談先

妊娠報告がつらいのは、自然な反応です

妊娠報告が痛みになるのは、あなたの気持ちが歪んでいるからではありません。まずは、何が起きているのかをやさしく整理してみます。

妊娠報告 辛い 不妊のとき、心の中で起きていること

子どもを望んでいるのに、まだ授かっていない。その状態で他の人の妊娠を聞くと、「自分にはまだ届いていないもの」を目の前に出されたように感じることがあります。祝福したい気持ちと、悲しい気持ちが同時にわいてくるのは、矛盾ではありません。

国立社会保障・人口問題研究所の第16回出生動向基本調査(2021年)では、不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦は22.7%(2015年の調査では18.2%)で、約4.4組に1組にのぼると報告されています。つらさを抱えている人は、あなたの周りにも、きっと思っているより多くいます。

「喜べない自分」を責めなくていい理由

気持ちには、よい・悪いがありません。「おめでとう」と言えたことと、心の中で悲しいことは、両方とも本当です。表に出す言葉と、内側の気持ちは別のものとして扱って大丈夫です。

つらさを感じること自体は、変えようとして変えられるものではありません。気持ちを消そうとするより、「いまは痛いんだな」とそのまま認めるほうが、心が少し楽になる人もいます。

状況別に見る、妊娠報告がつらくなる理由

同じ「妊娠報告」でも、いまの状況によって、痛みの形は変わります。自分にいちばん近いものを見てみてください。

妊活中 妊娠報告 つらいと感じるとき

タイミングを取っても結果が出ない月が続くと、周りの妊娠・出産の知らせが、「自分はまだ」という焦りを強くします。同じ時期に結婚した友人、同年代の同僚など、自分と近い立場の人からの報告ほど、比べる気持ちが動きやすくなります。

不妊の定義は、日本産科婦人科学会によると「妊娠を望む健康な男女が、避妊をしないで性交していたにもかかわらず、1年間妊娠しない場合」とされています。数か月うまくいかないだけで、自分を責める必要はありません。

不妊治療中 妊娠報告 辛いと感じるとき

通院や検査、注射、結果待ちを重ねている人にとって、「自然に授かった」という報告は、頑張りが報われない感覚につながることがあります。「こんなに頑張っているのに」という気持ちと、「頑張りだけでは決まらない」という現実の間で、心が揺れます。

また、周りに治療のことを話していない場合、「まだなの?」といった何気ない言葉が重なって、孤立感が強くなることもあります。治療そのもののつらさについては、不妊治療がつらいときの気持ちの整え方もあわせて読んでみてください。

流産後 妊娠報告 辛いと感じるとき

流産を経験したあとは、妊娠という言葉そのものが、あの日の記憶を呼び起こすことがあります。他の人の妊娠が順調に進む姿を見て、「本当は自分もそうだったはず」と感じるのは、悲しみ(グリーフ)の一部です。

この時期は、心もからだも回復の途中です。報告を聞いて動けなくなるのは、弱いからではありません。時間の流れ方は人それぞれなので、周りの時計に合わせなくて大丈夫です。流産のあとの気持ちについては、流産で立ち直れないときのことも参考にしてください。

二人目を望んでいるときの妊娠報告

一人目を授かっていても、二人目がなかなか授からないときの報告はつらくなります。「もう一人いるのに贅沢」と自分で思い込み、気持ちを打ち明けられなくなることがあります。けれど、望む気持ちの重さは、人数では比べられません。

独身・結婚の予定が見えないときの妊娠報告

結婚や出産を思い描いているのに、まだ相手や予定が見えないとき、友人の妊娠報告で「自分だけ取り残された」と感じることがあります。妊活中とは形がちがっても、同じように心が揺れるのは自然なことです。この記事のほかの項目にある返し方や距離の取り方、SNSの調整は、そのまま使えます。

嫉妬や罪悪感を抱えてしまうとき

つらさの奥には、嫉妬や罪悪感が混ざっていることがあります。焦りや、自分だけ取り残されたような感じ、「負けた」と思ってしまう気持ちが出てくるのも、自然なことです。その気持ちを、ひとつずつほどいてみましょう。

嫉妬する自分がいやになるとき

嫉妬は、「自分もそれを強く望んでいる」というサインでもあります。嫉妬の感情があるからといって、相手の不幸を願っているわけではありません。心の中の気持ちと、実際の行動は別のものです。

祝えなかったことに罪悪感があるとき

「ちゃんと祝えなかった」「そっけない返事をしてしまった」と後悔する人もいます。そのときの自分は、精いっぱいだったはずです。後日あらためて短く祝福を伝えられたら十分ですし、伝えられなくても、それは責められることではありません。

気持ちを整えるために、紙に書き出す

頭の中で渦を巻いている気持ちは、言葉にして外に出すと、少し形が見えてきます。「悲しい」「悔しい」「うらやましい」「そんな自分がいやだ」など、思いつくまま、誰にも見せない前提で書いてみてください。書き出したものは、読み返さず捨てても構いません。

妊娠報告を受けたその場の返し方の例

その場で気持ちを整える余裕がないことは多いものです。無理に感情を作らなくていいように、短くて使いやすい返し方を用意しておくと安心です。

直接伝えられたとき

その場では、長く話さなくて大丈夫です。たとえば、次のような言い方が使えます。

  • 「教えてくれてありがとう。体を大事にしてね」
  • 「そうなんだね。報告してくれてうれしいよ」
  • 「びっくりした。また落ち着いたら、ゆっくり聞かせてね」

「おめでとう」の言葉がどうしても出ないときは、「教えてくれてありがとう」だけでも、相手への思いやりは十分に伝わります。

メッセージで報告が届いたとき

文字で届いた場合は、すぐ返さなくても構いません。心が落ち着く時間を取ってから、短く返しましょう。

  • 「ご報告ありがとう。体調に気をつけてね」
  • 「いまは返信がゆっくりになるかもしれないけど、気にしないでね」

後者のように前もって一言添えておくと、返事が遅れても気まずくなりにくくなります。

事情を知らない相手に何気ない質問をされたとき

「次は〇〇さんの番だね」「そろそろ考えないの?」といった言葉を向けられることもあります。話したくないときは、たとえば次のように伝えてみます。

  • 「ありがとう。そのことは、ふたりのペースで考えているよ」
  • 「ちょっとデリケートな話題だから、ここまでにしてもらえるとうれしいな」

はっきり線を引いても、あなたが悪いわけではありません。

伝えたいことがあるときの、打ち明け方

信頼できる相手には、事情を伝えるのも選択肢のひとつです。たとえば「実は、いま妊活中で、少し気持ちが追いつかないことがあるんだ。あなたのことが嫌いなわけじゃなくて」と添えると、距離を置く理由が誤解されにくくなります。ただし、話すかどうかも、どこまで話すかも、あなたが決めてよいことです。

妊娠報告のあと、会う・会わないの距離の取り方

報告のあとは、お祝いの集まりや、出産後のお見舞いなど、顔を合わせる機会が増えます。無理なく付き合う方法を考えてみましょう。

会うのがつらいとき、断ってもいい

体調や気持ちが整っていないときは、会うことを控えて構いません。理由を細かく説明する必要はありません。たとえば「ちょっと予定が立てにくくて、今回は見送るね」と伝えれば十分です。

短時間だけ参加する、という選び方

全部を断るのも、全部に出るのも、極端に感じるなら、真ん中の方法があります。

  • 顔だけ出して、早めに失礼する
  • 食事会は断り、お祝いのメッセージだけ送る
  • 大人数の集まりを避けて、少人数や1対1にする
  • 赤ちゃんに会うのは、気持ちが落ち着いてからにする

距離を置いても、関係が終わるわけではない

いまは少し離れても、状況や気持ちが変われば、また近づける関係は多いものです。距離を置くのは、関係を壊すためではなく、自分を守るための調整です。

職場での報告がつらいとき

職場では、妊娠報告に加えて、業務の調整や祝いの場への参加など、逃げにくい場面があります。必要なやりとりだけを淡々と行い、仕事以外の雑談の場は、短く切り上げて構いません。気持ちが追いつかないときは、少人数の信頼できる人に事情を話しておくのも助けになります。

妊娠報告とSNSとの付き合い方

現代では、直接聞く報告のほかに、SNSで目に入る妊娠・出産の投稿があります。避けようと思っても流れてくるため、つらさが続きやすい場面です。

芸能人の妊娠報告がつらいとき

身近な人ではなくても、芸能人や有名人の妊娠報告で心が沈むことがあります。「関係ない人なのに」と思わなくて大丈夫です。心が敏感になっている時期は、距離のある相手の知らせでも、影響を受けやすくなります。

見ない工夫をして、心を守る

SNSは、自分で調整できる部分が大きいものです。

  • 妊娠・出産に関する投稿をミュート(非表示)にする
  • 関連するキーワードを非表示に設定する
  • 見るアプリの時間帯を決める(寝る前は避けるなど)
  • つらい時期だけ、アプリを開く回数を減らす

相手に気づかれない形で調整できる機能も多くあります。相手を切るのではなく、「見ない」だけの選択です。

似た立場の人とつながるときの注意

同じ悩みの人と気持ちを分かち合うと、救われることがあります。一方で、他の人の経過や結果を見て、自分と比べて落ち込むこともあります。見ていて疲れるときは、いったん離れて構いません。

パートナーに、妊娠報告のつらさを話すとき

ひとりで抱えるより、いちばん近い存在に話せると、気持ちが軽くなることがあります。ただ、伝え方によっては、すれ違いも生まれやすい話題です。

話す前に、してほしいことを決める

同じ「つらい」でも、聞いてほしいのか、一緒にいてほしいのか、何か提案してほしいのかで、ほしい反応は違います。たとえば、次のように最初に伝えてみます。

  • 「アドバイスはいらなくて、ただ聞いてほしいんだ」
  • 「今日はひとりで考えたいから、そっとしておいてほしい」
  • 「いっしょに過ごしてくれるだけで助かる」

「わたしは」を主語にして伝える

責める形になりにくいのは、自分の気持ちを主語にする言い方です。たとえば「わたしは、今日聞いた報告を思い出して、少し苦しくなっているんだ」と伝えてみます。「どうして何も言ってくれないの」といった責める形は、相手を身構えさせやすくなります。

パートナーも、同じ気持ちとは限らない

パートナーが同じようにつらさを感じているとは限りません。気持ちの量や出し方は人によって違い、「そんなに気にしなくても」という言葉が出てしまうこともあります。悪気がなくても、その言葉が刺さることがあります。そんなときは、「その言葉は、いまのわたしにはきついよ」と短く伝えてみてください。

不妊の原因は、日本産科婦人科学会によると男性側にも女性側にも、またその両方にもあり、原因が男性側にある場合と女性側にある場合はほぼ半々とされています。どちらか一方の問題ではない、ふたりのこととして受け止める視点も、話し合いの助けになります。

パートナーも、自分の悲しみを言葉にしにくいことがあります。「あなたはどう感じた?」と聞く時間があると、ふたりの距離が縮まります。

妊娠報告がつらいとき、ひとりでできること

話せる相手がいないとき、すぐに誰かに会えないときのために、ひとりでできることをまとめます。

からだと生活を整える

つらさが強い時期は、睡眠や食事が乱れがちです。眠れない日が続いたり、食べられなかったりするときは、まず休むことを優先してください。

気持ちの置き場所を作る

「悲しんでいい時間」を決めて、その間は思いきり泣く、という方法もあります。終わったら、お茶を飲む、散歩に出るなど、切り替えの習慣を決めておくと、悲しみに飲み込まれすぎずに済みます。

妊活以外の楽しみを、小さく持つ

妊活や治療が中心の生活になると、そのほかの喜びを感じにくくなります。旅行や趣味、友人との時間など、妊活と関係ない楽しみを、小さくてもいいので予定に入れておくと、気持ちの逃げ場になります。

妊娠報告のつらさをひとりで抱えないための相談先

ひとりで抱えるのが苦しいと感じたら、話を聞いてくれる場所があります。

不妊専門相談センター

厚生労働省の資料では、不妊専門相談センターは都道府県、指定都市、中核市に設置されていて、不妊に関する悩みを相談できるとされています。相談内容には不妊治療、不育症、夫婦間のコミュニケーションなどが挙げられています。費用や予約方法は自治体ごとに違うため、お住まいの自治体の案内を確認してください。

自治体の保健センター・こども家庭センター

保健師などの専門職が相談にのってくれる場所です。妊活の悩みを直接扱っていない窓口でも、地域の別の相談先を紹介してもらえることがあります。

カップルカウンセリング・心理の専門家

気持ちの整理や、パートナーへの伝え方に悩むときは、心理の専門家に相談する方法があります。ふたりで話すのが難しいときに、第三者が間に入ることで、気持ちを言葉にしやすくなります。

いますぐ助けが必要なとき

「消えてしまいたい」「生きているのがつらい」と感じるほど追いつめられているときは、迷わず頼ってください。厚生労働省のまもろうよ こころには、次のような窓口が紹介されています。

  • よりそいホットライン 0120-279-338(無料・24時間)
  • いのちSOS 0120-061-338(無料・24時間)
  • こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556(有料・曜日や時間は都道府県により異なる)

眠れない、食べられない、何も楽しめない状態が2週間以上続くときは、産婦人科や心療内科、精神科などの医療機関にも相談してください。ここで紹介した内容は診断ではありません。

よくある質問

Q. 妊娠報告がつらいと感じる自分は、心が狭いのでしょうか。

いいえ。望むものがまだ手に入っていない人が、他の人の喜びに痛みを感じるのは、とても自然なことです。心が狭いかどうかとは関係がありません。

Q. 友だちの妊娠をどうしても祝えないとき、どうしたらいいですか。

「教えてくれてありがとう」といった短い言葉で十分です。会うことや、お祝いの品を選ぶことは、気持ちが落ち着いてからで構いません。距離を置くことも選択肢です。

Q. 流産後の友人の妊娠報告は、いつ頃から平気になりますか。

平気になるまでの時間は、人によって大きく違い、決まった目安はありません。数か月で落ち着く人もいれば、もっと時間がかかる人もいます。つらさが長く続いて生活に支障があるときは、医療機関や相談窓口に相談してください。

Q. 妊娠報告をした側が、相手を傷つけないためにできることはありますか。

直接会う前にメッセージで先に伝える、返事を求めない、といった配慮が助けになることがあります。相手の状況を知らないときは、報告を急がず、相手が受け止める時間を持てるようにしてあげてください。

Q. 不妊治療中であることを、周りに話したほうがいいですか。

話すかどうかに、正解はありません。話すことで理解が得られる場合もありますが、望まない言葉を受ける場合もあります。信頼できる人にだけ、必要な範囲で話すという方法もあります。

Q. 妊娠報告のつらさを、パートナーがわかってくれません。

気持ちの量や出し方は人によって違います。してほしいことを具体的に伝える、第三者を交えて話すなどの方法を試してみてください。

まとめ:妊娠報告がつらいのは自然なこと。自分を守りながら、ゆっくり向き合おう

妊娠報告がつらいときは、気持ちを責めずに、自分を守る行動を選んでください。

  • 喜べない、嫉妬する、罪悪感がある、といった気持ちは自然な反応で、あなたの人間性の問題ではありません
  • 返し方、会う頻度、SNSの見方は、自分を守るために調整してよいもの。短い言葉や距離の取り方で、関係を壊さずに済みます
  • パートナーや相談窓口、心理の専門家など、ひとりで抱えない道があります

妊娠報告のつらさは、あなたの願いの深さの表れです。できる範囲で、自分のペースを大切にしてください。

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