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妊活・不妊

不妊治療がつらいとき、理由と気持ちの整え方・相談先

公開 約14分で読めますかぞくる編集部

不妊治療がつらい、と感じているのは、あなたが弱いからでも、考えすぎているからでもありません。通院、痛みや体調の変化、結果を待つ時間、生理が来た日の落胆、仕事のやりくり、周りの何気ない言葉。治療そのものに、気持ちがすり減る場面がいくつも重なっているからです。

この記事では、不妊治療がつらくなる理由を場面ごとに整理し、気持ちの整え方、ひとりでできること、相談できる窓口をまとめます。つらさをなくすことは難しくても、「つらくて当たり前なのだ」と知るだけで、少し肩の力が抜けることがあります。

この記事でわかること

  • 不妊治療がつらくなる理由と、つらいと感じやすい場面
  • 「治療をやめたい」と思ってしまう気持ちの受け止め方
  • 場面ごとの気持ちの整え方と、ひとりでできること
  • 不妊専門相談センターなど、気持ちを話せる相談先

不妊治療がつらいのはなぜ? つらくなる理由

不妊治療のつらさには、いくつかの理由が重なっています。まず「なぜこんなにつらいのか」を言葉にしてみます。

終わりが見えない

不妊治療は、妊娠・出産に至るまで、あるいは治療をやめると決めるまで続きます。厚生労働省の「不妊治療と仕事の両立サポートハンドブック」にも、そのように書かれています。始めてすぐに妊娠する人もいれば、何年も続ける人もいて、いつまで続くのかを最初に見通すことはできません。ゴールの時期が決まっていないことは、それだけで心の負担になります。

期待と落胆が、毎周期くり返される

治療は月経の周期に合わせて進みます。検査や注射、移植など、段階を進むたびに期待が高まり、結果が出るたびに気持ちが大きく動きます。うまくいかなかった周期のあと、気持ちを立て直す間もなく次の周期が始まることも多く、休む暇がないと感じる人も少なくありません。

からだと時間の負担が大きい

同じハンドブックには、治療には身体的・精神的・経済的な負担が伴うこと、ホルモンを整える治療の影響で腹痛、頭痛、めまい、吐き気などの体調不良が出ることがあることが書かれています。1回の診察は、一般的な不妊治療で1〜2時間、体外受精などの生殖補助医療で1〜3時間が目安で、待ち時間を含めて数時間かかることもあります。採卵などは半日から1日かかる場合もあります。

予定を自分で決めにくい

通院日が月経や排卵の周期、ホルモン検査の結果で決まるため、前もって予定を組みにくいことも、つらさの大きな理由です。仕事、家事、人づきあいの予定が、治療のスケジュールに左右されます。

努力ではコントロールできない

勉強や仕事とちがい、どれだけ頑張っても結果をこちらで決められません。「自分にできることはやっているのに」という思いと、「結果は自分ではどうにもならない」という思いが同時にあることが、無力感につながります。

不妊治療のつらいこと、場面ごとに

ここからは、つらさが出やすい場面を順に見ていきます。当てはまる場面があれば、「それはつらくて当然」と受け止めてください。

不妊治療の待合室が辛いとき

待合室は、同じ悩みを持つ人が集まる場所でもあり、お腹の大きな人や赤ちゃんを連れた人の姿が目に入る場所でもあります。たとえば、妊婦さんの姿を見るたびに胸がきゅっとなる、順番を待つ時間が長くて気持ちが沈んでいく、という人がいます。診察を終えて会計を待つ間に、涙が出そうになることもあります。

待合室がつらいのは、気持ちが弱いからではなく、不安や期待が一番高まる場所に長くいるからです。

痛みやからだの不調がつらいとき

検査、注射、採卵、移植などで、痛みや不快感を感じる人もいます。薬の影響で眠気やむくみ、気分の波が出ることもあります。「これも妊娠のためだから」と我慢を重ねると、治療そのものがこわくなってしまうことがあります。

痛みや不調を我慢しすぎる必要はありません。痛みが強いときは、がまんせずに医師に相談してかまいません。痛みの感じ方には個人差があり、伝えることで、薬や方法を見直せる場合があります。看護師や助産師にも、遠慮せずに伝えてください。

結果を待つ時間がつらいとき

判定日までの数日から2週間ほどの待ち時間は、心が落ち着きにくい時間です。ちょっとした体調の変化を、妊娠の兆しなのか、そうでないのかと何度も考えてしまう。検索を繰り返して、かえって不安が増える。これは、とても自然な反応です。

生理が来た日につらいとき

期待していた分だけ、生理が来たことを知った日の落胆は大きくなります。たとえば、朝のトイレで気持ちが沈み、そのまま仕事に向かうのがつらい、という日があります。涙が止まらない日があっても、何も手につかない日があっても、それはおかしなことではありません。

仕事との調整がつらいとき

厚生労働省の「令和5年度 不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査」(n=257)では、不妊治療をしている(していた)人のうち、仕事と治療を両立している(していた)人は55.3%でした。一方で、両立できず仕事を辞めた人が10.9%、両立できず治療をやめた人が7.8%、両立できず雇用形態を変えた人が7.4%いて、あわせて26.1%の人が両立の難しさを経験していました(残りは治療当時に働いていなかった人です)。

両立できなかった理由は、「待ち時間など通院にかかる時間が読めない、通院日に外せない仕事が入るなど、日程の調整が難しい」「精神面で負担が大きい」「体調、体力面で負担が大きい」が多いとされています。仕事との調整がつらいのは、あなたの段取りが悪いからではありません。

周りの何気ない言葉がつらいとき

「まだなの?」「リラックスしたらできるよ」「うちの子、かわいいよ」。悪気のない言葉が、胸に刺さることがあります。励ましのつもりの言葉ほど、「自分が頑張っていないと言われた気がする」と受け取ってしまうこともあります。

言葉の意図と、受け取る側のつらさは別のものです。傷ついたことを「大げさだ」と自分で否定しなくて大丈夫です。

知人や親戚、SNSで目にする妊娠の報告も、同じように胸に重く響くことがあります。喜べない自分を責める必要はありません。伝え方や距離の取り方は、妊娠報告がつらいときの記事でくわしく扱っています。

男性側のつらさと、女性に負担が偏りやすいこと

不妊治療では、通院、注射、採卵、移植など、からだへの負担や通院の回数が女性側に多くかかりやすい傾向があります。一方で、男性側にも「結果を聞くのがこわい」「自分のせいかもしれない」「つらさを口にしてはいけない気がする」といった、言葉にしづらいつらさがあります。負担の大きさや種類はふたりで違っても、どちらもつらいことに変わりはありません。つらさを比べるより、「あなたはどうだった?」と聞き合うことが、すれ違いをやわらげる入口になります。ふたりの温度差については、妊活の温度差の記事も参考にしてください。

「不妊治療を辛い、やめたい」と思うのは自然なこと

つらさが続くと、「もう、やめたい」と思う日が出てきます。そう思った自分を責めないでください。

やめたいという気持ちは、「疲れた」「休みたい」「これ以上傷つきたくない」というサインとして出ていることがよくあります。必ずしも、治療をやめると決めたことを意味しません。

今すぐ答えを出さなくてもよい、と考えてみてください。「今日は疲れているだけかもしれない」「次の周期はお休みして、そのあとで考えてもいい」という選択肢もあります。治療を続けるかどうかは、先生にも相談しながら、ゆっくり決めていくことができます。

不妊治療がつらいときの、気持ちの整え方

つらさをゼロにすることはできなくても、少し軽くする工夫はあります。ここでは、すぐできそうなものを挙げます。

つらさに名前をつける

「つらい」の中身を、書き出してみます。「痛いのがこわい」「結果を待つのが不安」「周りに言えなくて孤独」というように、分けて書くと、「全部がつらい」という漠然とした状態から、「今はこれがつらい」という形に変わります。何がつらいのかがわかると、対処も考えやすくなります。

「頑張らない日」を先に決める

通院の予定とは別に、治療のことを考えない日、考えない時間を、あらかじめ決めておきます。たとえば、「判定日の前の日曜は、好きなことだけして過ごす」「通院の帰りは、おいしいものを食べて帰る」といった小さな約束です。休むことも、治療を続けるための大事な部分です。

比べない

SNSや身近な人の妊娠報告は、見ているだけで心が揺れます。つらいときは、見る時間を減らす、通知を切る、などして、自分を守ってかまいません。なお、妊娠報告のつらさについては、別の記事でくわしく扱います。

先生に「つらい」と伝える

診察のときに、「最近、気持ちがつらい」と伝えてかまいません。医療機関によっては、心理の専門家や看護師が話を聞く窓口を設けている場合があります。体の治療だけでなく、気持ちも診察の対象です。

一番つらい自分を、一番大切にする

「もっと頑張らなきゃ」と自分を追い込むより、「ここまでよくやっている」と認める言葉を、自分にかけてみてください。誰かに言われなくても、自分が自分に言うことはできます。

ひとりでできること

誰かに頼る前に、まず自分ひとりでできる小さな工夫です。しんどい夜に、いきなり全部をやろうとしなくて大丈夫です。

今夜できることは、次の3つのうちひとつで十分です。

  • 書き出す。いまのつらさを、きれいな言葉にせず、そのままメモに書く
  • 誰かに話す。パートナーや信頼できる人に「いま、つらいんだ」とひとこと伝える
  • 窓口に連絡する。不妊専門相談センターや自治体の窓口の受付日時を調べて、明日以降の連絡先を決めておく

そのほかにできる工夫は、次のとおりです。

  • 睡眠と食事を、できる範囲で整える。完璧でなくてよく、「寝る時間だけは確保する」といった一つだけでも十分です
  • 通院後の過ごし方を、あらかじめ決めておく。帰り道の寄り道や、温かい飲み物など、ささやかなご褒美を用意する
  • 日記やメモに、気持ちをそのまま書く。誰にも見せない前提で、きれいな言葉にしなくて大丈夫です
  • ゆっくり息を吐く、軽く歩くなど、からだから落ち着ける時間を作る
  • 治療に関する検索は時間を決める。夜中に調べ続けると、不安が大きくなりやすいためです
  • 信頼できる人に、「いま、つらいんだ」とひとこと伝える。解決策は求めず、聞いてもらうだけでも気持ちは軽くなります

パートナーに気持ちを話すときは、「どうにかしてほしい」より「いま、こんな気持ちだと知っていてほしい」と伝えると、受け取ってもらいやすくなります。たとえば、「今日の診察で少しつらくなったから、話を聞いてほしい」と伝えてみる。ふたりの温度差で悩んでいるときは、別の記事で扱っています。治療を続けるかどうか迷う気持ちが強いときは、不妊治療のやめどきの記事も参考にしてください。

不妊治療がつらいときの相談先

ひとりで抱えるのが苦しいときは、治療の外にも、話を聞いてくれる窓口があります。

不妊専門相談センター(性と健康の相談センター)

こども家庭庁によると、不妊専門相談センターは、都道府県、指定都市、中核市が設置している相談窓口で、不妊に悩む夫婦を対象に、医学的・専門的な相談や、不妊による心の悩みなどに、医師や助産師などの専門家が対応します。地域によっては「性と健康の相談センター」という名前で案内されている場合もあります。

また、国の不妊・不育の情報サイトでは、こうした窓口で、不安やストレスなどの気持ちの悩み、不妊治療と仕事の両立、男性本人からの相談なども受けられる、と紹介されています。東京都のように、同じ経験を持つピアカウンセラー(経験者による相談員)が電話で相談を受ける窓口もあります。受付日時や費用、予約の要否は自治体ごとに異なるので、お住まいの都道府県・指定都市・中核市の窓口に確認してください。

通っている医療機関

診察のときに、心理の専門家(公認心理師・臨床心理士など)や、看護師・助産師に話を聞いてもらえるかを尋ねてみてください。体制は医療機関によって異なります。

自治体の保健センター・こども家庭センター

住んでいる地域の保健センター(こども家庭センター)でも、保健師などが気持ちの相談に応じています。不妊専門相談センターの案内も受けられます。

カップルカウンセリング・心理の専門家

ふたりの気持ちがすれ違うときや、自分の気持ちを整理したいときは、カップルカウンセリングや、心理の専門家に相談する方法もあります。治療の方針を決める場所ではなく、気持ちを安心して話し、整理する場所です。

気になるときは医療機関へ

気分の落ち込みが長く続く、眠れない、食べられない、何も楽しめない、涙が止まらない、といった状態が続くときは、産婦人科・心療内科・精神科などの医療機関や、お住まいの地域の精神保健福祉センターに相談してください。つらさが続くのは、気持ちの持ちようの問題ではありません。

いますぐ助けが必要なとき

「消えてしまいたい」「死んでしまいたい」といった気持ちが強くなったときは、ひとりで抱えず、すぐに誰かにつながってください。厚生労働省のまもろうよ こころでは、電話やSNSで相談できる窓口を紹介しています。身に危険が迫っているときは、119番や110番に連絡してください。

よくある質問

Q. 不妊治療がつらいと感じるのは、私だけですか。

あなただけではありません。治療を受ける人の多くが、通院、体調、結果を待つ時間、仕事や周囲との関係など、さまざまな場面でつらさを経験します。厚生労働省の調査でも、治療と仕事の両立に難しさを感じた理由として、精神面の負担が上位に挙げられています。

Q. 不妊治療がつらくて、やめたくなってしまいました。どうしたらいいですか。

やめたいと思うのは、疲れや傷つきが積み重なったときの自然な反応です。すぐに答えを出す必要はありません。まずは、つらさの中身を書き出してみる、先生に気持ちを話す、次の周期はお休みにして考える、といった形で、時間をおいてもかまいません。ひとりで決めきれないときは、不妊専門相談センターなどで気持ちを整理する方法もあります。

Q. 待合室が辛くて通院するのがこわいときは、どうしたらいいですか。

予約時間の取り方や、混み合わない時間帯について、医療機関に相談できる場合があります。イヤホンで音楽を聴く、本や動画に没頭する、待つ間にできる小さな楽しみを用意するなど、気持ちをそらす方法もあります。つらさが強いときは、通院のたびに感じていることを、先生や看護師に伝えてみてください。

Q. 不妊治療と仕事の両立がつらいです。

上司や人事の担当者に、通院が必要な事情を伝えるかどうかは、あなたが決めてよいことです。厚生労働省の「不妊治療と仕事の両立サポートハンドブック」には、職場の制度の探し方や配慮のポイントがまとめられています。まずは、会社に休暇や時間単位の年休、柔軟な勤務の制度があるかを、就業規則などで確認するところから始められます。

Q. パートナーがつらさをわかってくれないように感じます。

治療のつらさは、同じ立場にいても伝わりにくいものです。「理解してほしい」より、「いまこんな気持ちでいる」と事実を伝えるところから始めてみてください。それでもふたりだけでは難しいときは、カップルカウンセリングなど、第三者に入ってもらう方法もあります。

Q. 治療中の気持ちの落ち込みは、病気でしょうか。

気持ちの落ち込みだけでは、病気かどうかは判断できません。診断は医療機関が行うものです。落ち込みが長く続く、日常生活に支障が出ているというときは、産婦人科・心療内科・精神科などの医療機関に相談してください。

まとめ:不妊治療がつらいときは、つらいと言っていい

不妊治療がつらいのは、自然なことです。大切なポイントは次の3つです。

  • 不妊治療のつらさは、終わりが見えない、期待と落胆のくり返し、からだと時間の負担など、いくつもの理由が重なって起こる
  • 「やめたい」と思うのは疲れのサインで、今すぐ答えを出さなくてもよい。気持ちの整え方や、ひとりでできる工夫で、少しずつ軽くできる
  • 一人で抱えず、不妊専門相談センター、医療機関、自治体の窓口、心理の専門家など、話せる場所を使ってよい

不妊治療がつらいと感じているあなたは、それだけ真剣に向き合ってきたということです。今日の気持ちを、どうか大切にしてください。

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