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妊活・不妊

妊活の温度差に悩むとき。責めずに話す方法と相談先

公開 約15分で読めますかぞくる編集部

妊活の温度差に悩んでいるとき、「どうしてこんなに気持ちが違うのだろう」「自分だけが空回りしている気がする」と、ひとりで抱えてしまいがちです。結論から言うと、妊活の温度差は、どちらかの愛情や本気度が足りないから起きるのではなく、持っている情報、からだの負担、時間の感じ方が違うために、ほとんどの夫婦に起こりうるものです。責める前に、まず「見えている景色が違う」ところから整理すると、話し合いの糸口が見つかります。

この記事は、妻側で「夫がやる気ないように見える」と感じている人にも、夫側で「どう動けばいいかわからない」「責められている気がする」と感じている人にも読んでもらえるように書きました。どちらが悪いという話はしません。

この記事でわかること

  • 妊活の温度差が生まれる主な理由(情報、からだの負担、時間の感じ方、プレッシャー、戸惑い)
  • 責めずに話し合うコツと、そのまま使える言い方の例
  • 検査や通院を切り出すとき、男性側が検査を嫌がるときの考え方
  • ひとりで抱えないための相談先(不妊専門相談センター、自治体の窓口、カップルカウンセリングなど)

妊活の温度差は、どれくらい「ふつう」のことなのか

妊活の温度差は、特別な夫婦だけに起きる問題ではありません。ここでは、数字で見た妊活の広がりと、温度差が生まれる前提を確認します。

国立社会保障・人口問題研究所の「第16回出生動向基本調査」(2021年)では、不妊の検査や治療を受けたことのある夫婦は22.7%で、4.4組に1組にあたると報告されています(前回2015年は18.2%)。妊活や不妊の検査・治療は、いまや身近なできごとです。身近だからこそ、ふたりの間で受け止め方がずれることも、決してめずらしくありません。

また、日本産科婦人科学会は、不妊症を「妊娠を望む健康な男女が、避妊をしないで性交していたにもかかわらず、1年間妊娠しない場合」と説明しています。WHO(世界保健機関)も、不妊を「定期的に避妊せずに性交していても12か月以上妊娠に至らない状態」としています。そして学会の説明では、不妊の原因は男性側と女性側にほぼ半々といわれています。つまり妊活は、最初から「ふたりのこと」として向き合うテーマです。

妊活で夫婦の温度差が生まれる理由

温度差には、はっきりした理由があります。ここでは、よく挙がる5つの理由を、責める言葉を使わずに整理します。「うちはこれだ」と気づけるだけでも、気持ちが少し軽くなります。

妊活の情報量に差がある

妊活では、どちらか一方が情報を集める役になりやすい傾向があります。年齢と妊娠のしやすさの関係、排卵日の考え方、検査や治療の種類など、調べている人にとっては「当たり前」の知識が、もう一方にはほとんど届いていないことがあります。

知識に差があると、同じ状況を見ていても危機感が変わります。調べている側は「早く動かないと」と思い、調べていない側は「まだ大丈夫では」と感じる。これは、やる気の差というより、持っている材料の差です。

からだの負担と通院の負担が同じではない

基礎体温を測る、排卵日を気にする、通院する、検査や処置を受ける。こうした負担は、多くの場合、女性側に集中します。毎月の結果に気持ちが揺れ、生理が来るたびに落ち込む。その痛みを、いちばん近くで受け止めているのは本人です。

一方で、負担が少ない側は、からだの感覚としてその重さを知りにくいものです。「そこまで深刻に考えなくても」という言葉が、悪気なく出てしまう背景には、この体感の差があります。

年齢や時間の感じ方が違う

「あと何年待てるか」の感じ方も、ふたりで違うことがあります。カレンダーを見るたびに焦る人もいれば、「もう少し落ち着いてから」と考える人もいます。年齢、仕事の状況、家計や住まいの事情など、時間の物差しが人によって違うのは自然なことです。

大切なのは、どちらの感じ方が正しいかを決めることではなく、ふたりの物差しをテーブルに並べて見せ合うことです。

周囲や自分自身のプレッシャーがある

親や親戚からの何気ない一言、SNSで目にする妊娠報告、職場での気遣い。こうしたプレッシャーは、気づかないうちに気持ちを追い詰めます。プレッシャーを強く感じている側は焦り、そう感じにくい側は温度が低く見える。これもすれ違いのもとになります。

また、男性側にも別のプレッシャーがあります。「結果が出ないのは自分のせいかもしれない」と思いながら、それを口にできずにいることもあります。

男性側の戸惑いが「やる気がない」に見えてしまう

妊活で「夫がやる気ない」「協力してくれない」と感じる場面の中には、実は戸惑いや不安が隠れていることがあります。たとえば次のようなケースが考えられます。

  • 何をすればいいのかわからず、手を出せずにいる
  • 検査の結果を知るのが怖くて、話題を避けてしまう
  • 妻が落ち込んでいるのを見て、励ますつもりで「気にしすぎ」と言ってしまう
  • 男性は体調やプライドの面で、不妊の話を人にしにくいと感じている

もちろん、すべてのケースが当てはまるわけではありません。ただ、「やる気がない」と決めつける前に、「戸惑っているのかもしれない」と見方を少しだけ広げてみると、話し方が変わります。

妊活で夫婦がすれ違う場面と、そのとき起きやすい気持ち

温度差が表に出やすいのは、特定の場面です。ここでは、よくある場面ごとに、双方の心の中で起きやすいことを整理します。

妻側が感じやすい気持ち

妊活の温度差が辛い、イライラする、と感じる場面では、次のような気持ちが重なっていることがあります。

  • 自分ばかりが頑張っていて、ひとり取り残されている気がする
  • 話しても本気で聞いてもらえていない気がする
  • 毎月の結果に落ち込む気持ちを、わかってもらえない
  • 「このままでいいのか」と、夫婦の先行きまで不安になる

こうした気持ちが重なると、「イライラ」として表に出ることがあります。たとえば、通院や検査の話を持ち出したのに生返事だったとき、生理が来て落ち込んでいる日に夫がいつも通りに過ごしているように見えたとき。イライラは、相手への怒りだけでなく、「ひとりで抱えている心細さ」や「わかってほしい」という願いが形を変えたものであることが少なくありません。ほぐすには、感情が高ぶっている最中に話そうとせず、いったん席を外して深呼吸する、気持ちを紙に書き出す、そのうえで「怒っているというより、さみしかった」と本音のほうを伝える、という順番が助けになります。妊活そのもののストレスについては、妊活のストレスの記事でもくわしく扱っています。

夫側が感じやすい気持ち

一方、夫側にも言葉にしづらい気持ちがあります。

  • 何を言っても責められそうで、話題を避けたくなる
  • 「タイミングだから」と言われると、義務のように感じて気持ちが追いつかない
  • 自分の体のことを調べるのが怖い、恥ずかしい
  • 助けたいのに、どう助ければいいのかわからない

こうして並べてみると、同じ場面でも、ふたりとも別々の理由でつらくなっていることがわかります。どちらか一方が悪いのではなく、お互いが「わかってもらえない」と感じている状態がすれ違いです。

妊活の話し合いを責めずに進めるコツ

話し合いがうまくいかないとき、中身よりも「切り出し方」と「タイミング」でつまずいていることが多くあります。ここでは、責めずに話し合うための基本のコツを紹介します。

話し合うタイミングと場所を選ぶ

  • 排卵日の前後、生理が来た直後、検査の結果が出た日など、感情が揺れやすい日は避ける
  • 食事の直後やお風呂上がりなど、お互いが落ち着いている時間帯を選ぶ
  • 「今度の週末に30分だけ、妊活のことを話したい」と、事前に予告しておく
  • 話し合いの時間は短めに区切り、結論を急がない

「あなたは」ではなく「わたしは」で話す

「あなたはやる気がない」と言われると、人は責められたと感じて、守りに入ります。「わたしは、こう感じている」と主語を自分にすると、同じ内容でも伝わり方がやわらぎます。

ふたりで話すときの言い方の例です。

  • 「最近、わたしひとりで考え込んでいる気がして、ちょっとさみしいんだ。いっしょに考えてもらえると助かる」と伝えてみる
  • 「どう思っているか、聞かせてほしい。正解はないから、思ったままで大丈夫」と伝えてみる
  • 責められている気がするときは、「責められているように聞こえて、少し苦しくなった。そういうつもりじゃないなら、もう一度教えてほしい」と伝えてみる
  • 「何をしていいかわからない」という気持ちがあるときは、「協力したい気持ちはあるけれど、何をすればいいか迷っている。具体的に教えてもらえると動きやすい」と伝えてみる

気持ちの話と、やることの話を分ける

妊活の話し合いは、「気持ち」と「具体的なやること」が混ざると、噛み合わなくなります。先に気持ちを聞き合い、そのあとで、やることを決める順番がおすすめです。

  • 気持ちの話では、結論を出そうとせず、相手の言葉を「そう感じているんだね」と受け止めるだけにする
  • やることの話では、「いつまでに」「どちらが」「どのくらい」を具体的にして、小さく決める
  • 決めたことはメモに残し、あとで見返せるようにする

同じ情報を、いっしょに見る

情報の差が温度差のもとになっているなら、情報を揃えるのが近道です。ただし、「これを読んで」と一方的に渡すのではなく、いっしょに見て、感じたことを話すほうが、受け取りやすくなります。公的機関のページや、医療機関の説明など、信頼できる情報源を選ぶと、安心して共有できます。

妊活で検査や通院を切り出すとき、男性不妊の検査を嫌がるとき

検査や通院は、温度差がもっとも表に出やすい話題です。男性不妊の検査を嫌がると感じたときは、嫌がる理由を知ることが、切り出し方のヒントになります。

男性が検査を嫌がるときに考えられること

男性不妊の検査を嫌がる背景には、いくつかの気持ちが重なっていることがあります。

  • 結果が悪かったら、自分が責められるのではないかという怖さ
  • 検査そのものへの恥ずかしさや、どんなことをするのかわからない不安
  • 「男性としての価値」に関わるように感じてしまう戸惑い
  • 仕事が忙しく、通院の時間を作る余裕がない

どれも「検査を受けたくない」ではなく、「怖い」「不安」「余裕がない」が先にある気持ちです。そこを踏まえて、話し方を選びます。

検査を切り出すときの言い方の例

日本産科婦人科学会の説明にあるとおり、不妊の原因は男性側・女性側にほぼ半々といわれています。「どちらかの問題かを探す」のではなく、「ふたりの現在地を知って、次の一歩を決めるため」という位置づけで伝えると、受け止めやすくなります。

  • 「どちらが悪いか調べたいわけじゃなくて、ふたりの状況を知って、次を決めたいんだ」と伝えてみる
  • 「原因は男女でほぼ半々といわれているから、ふたりで調べるのが自然だと思う」と伝えてみる
  • 「わたしも検査を受けるから、いっしょに受けよう」と、並んで取り組む形を示してみる
  • 「怖い気持ちもあると思う。どんなことが不安か、聞かせてほしい」と、不安を先に聞いてみる
  • 「結果がどうでも、責めない。ふたりで考える」と、先に約束してみる

検査の内容や費用の面が不安なときは、受診前に医療機関の説明や、自治体の相談窓口で確認できます。2022年4月から公的医療保険の対象になる治療も広がっていますが、細かい条件は変わることがあるため、制度の詳細は自治体や医療機関で確かめてください。

無理に連れて行かない、急かしすぎない

検査を強く求めすぎると、かえって心を閉ざしてしまうことがあります。「今月は話題にしない」「まずは情報だけ集める」「相談窓口にいっしょに行ってみる」など、小さな一歩から始める選択肢もあります。時間に余裕がないと感じるときほど焦りますが、同意を得ながら進めることが、結果としてふたりのためになります。

妊活の温度差に悩んでいる側が、ひとりでできること

話し合いがうまく進まないときも、できることはあります。温度差のなかで気持ちを抱え続けるのは、とてもつらいことです。ここでは、パートナーに変わってもらう前に、自分の心を守るための方法を紹介します。

  • 感じていることを、日記やメモに書き出して、頭の中を整理する
  • 自分が子どもを望む理由を言葉にしてみる(理由を言葉にしておくと、話し合いで伝えやすくなります)
  • 妊活以外のことを楽しむ時間を、意識して予定に入れる
  • 信頼できる友人や家族のうち、聞き役になってくれる人に話してみる
  • 睡眠、食事、休息を優先して、心身の疲れをためない

また、気分の落ち込みが続く、眠れない、何も楽しめない、仕事や家事が手につかないといった状態が続くときは、気持ちの問題と片づけず、産婦人科・心療内科・精神科などの医療機関や、自治体の窓口に相談してください。

妊活の温度差で、ひとりで抱えないための相談先

ふたりの話し合いだけで解決しようとしなくても大丈夫です。第三者が入ることで、冷静に話せることがあります。ここでは、公的な窓口と専門家の相談先を紹介します。

不妊専門相談センター

不妊専門相談センターは、不妊に悩む人の相談を受ける窓口で、都道府県・指定都市・中核市に置かれています。厚生労働省の資料では、医師などの専門的な知識を持つ人が、医学的な相談や心の悩みについて相談を受ける仕組みと説明されています。設置している自治体や相談の方法(電話、面接、メールなど)、費用は自治体によって異なるため、お住まいの都道府県・市のホームページで確認してください。

参考: 厚生労働省「不妊のこと、1人で悩まないで」不妊専門相談センターに関する調査(2018年)

自治体の保健センター・こども家庭センター

お住まいの市区町村の保健センターや、こども家庭センター(旧・子育て世代包括支援センター)では、妊娠や出産、子育ての相談を受けています。妊活の段階でどこに相談すればよいか迷うときは、まず電話で「不妊のことで相談したいのですが、どこに連絡すればよいですか」と聞いてみると、適切な窓口を案内してもらえます。

カップルカウンセリング・心理の専門家

「話し合うと、いつも同じ喧嘩になってしまう」ときは、心理の専門家(公認心理師・臨床心理士など)が入るカップルカウンセリングも選択肢です。第三者がいることで、気持ちを言葉にしやすくなったり、相手の話を落ち着いて聞けたりします。ふたりで受けることも、まずひとりで相談して整理することもできます。

いますぐ助けが必要なとき

「消えてしまいたい」「死にたい」といった気持ちが強いときは、ひとりで耐えずに、すぐに相談してください。厚生労働省の「まもろうよ こころ」では、24時間対応の電話相談(いのちSOS、よりそいホットラインなど)や、LINE・チャットで相談できる窓口を紹介しています。命の危険を感じるときは、119番や110番にもためらわず連絡してください。

パートナーとの関係に安全の不安があるとき

もし、相手から怒鳴られる、人格を否定される、暴力を振るわれる、行動を制限されるなどの不安があるときは、「ふたりで話し合う」より、安全を守ることが先です。内閣府の DV相談ナビ(#8008)や DV相談+(プラス、0120-279-889)など、公的な相談窓口に相談してください。

よくある質問

ここでは、妊活の温度差について、検索でよく見かける疑問に答えます。

Q. 妊活の温度差は、よくあることですか。

はい、よくあることです。持っている情報、からだの負担、時間の感じ方、プレッシャーの受け止め方が違うため、多くの夫婦に起こりえます。温度差があること自体が、夫婦仲の悪さや愛情のなさを意味するわけではありません。

Q. 妊活で夫がやる気ないように見えるのは、本当にやる気がないのですか。

「うちの旦那は協力してくれない」と感じる場面でも、実は戸惑いや不安、検査への怖さが隠れていることがあります。やる気の問題と決めつける前に、「どう感じているか聞かせてほしい」と、気持ちを尋ねるところから始めてみてください。

Q. 夫が検査を嫌がるとき、どうしたらいいですか。

嫌がる理由(怖さ、恥ずかしさ、忙しさ、責められる不安)を、まず聞いてみてください。そのうえで「どちらが悪いか調べたいのではなく、ふたりの現在地を知りたい」と伝え、自分も検査を受けることを示すと、受け止めやすくなります。急かしすぎず、相談窓口の利用など小さな一歩から進める方法もあります。

Q. 妊活の温度差で、夫婦仲が悪くなりそうで怖いです。

妊活は長くなることもあり、気持ちが張りつめやすい時期です。「このまま離婚になるのでは」とまで考えてしまう人もいますが、温度差があること自体が離婚につながると決まっているわけではありません。離婚するかどうかを、この記事で判断することもできません。気持ちがすれ違っているときほど、結論を急がず、ふたりの状況を整理することが先です。話し合いがうまくいかないときは、不妊専門相談センターや自治体の窓口、カップルカウンセリングなど、第三者の力を借りる方法があります。ふたりだけで抱え込まないことが、関係を守ることにつながります。不妊治療そのもののつらさについては、不妊治療がつらいときの記事も参考にしてください。

Q. 妊活の話し合いは、どのくらいの頻度ですればいいですか。

決まった正解はありません。月に1回、30分だけなど、時間を決めて話す方法は、気持ちが乱れた日に突発的に話すより、落ち着いて話しやすくなります。感情が高ぶっているときは、いったん離れて、後日あらためて話すのもひとつの方法です。

Q. 妊活がつらくて、ひとりで限界を感じています。どうしたらいいですか。

気持ちが限界に近いときは、パートナーに伝えるより先に、自分を守ることを優先してください。不妊専門相談センターや自治体の窓口、心の専門家への相談ができます。気分の落ち込みや不眠が続くときは、産婦人科・心療内科・精神科などの医療機関にも相談してください。

まとめ:妊活の温度差は、責めずに話すことで少しずつ近づけられる

妊活の温度差は、どちらかが悪いから起きるのではなく、情報、からだの負担、時間の感じ方、プレッシャー、戸惑いがちがうために生まれるものです。要点を3つにまとめます。

  • 妊活の温度差は、多くの夫婦に起こりうることで、愛情や本気度の問題とは限らない
  • 「あなたは」ではなく「わたしは」で話す、気持ちとやることを分ける、同じ情報をいっしょに見る、が話し合いの基本
  • ふたりだけで抱え込まず、不妊専門相談センター、自治体の窓口、カップルカウンセリングなど第三者の力を借りてよい

ふたりの温度が少しずつ近づくための最初の一歩は、小さな一言で十分です。今日、どちらかが「最近どう感じてる?」と聞くところから、始めてみてください。

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