マタニティブルーとは?症状・いつまでと夫ができること
出産して数日。うれしいはずなのに、理由もなく涙が出る。赤ちゃんはかわいいのに、なんだか不安で、夫のひと言にもいらだってしまう。そんな自分に戸惑っていませんか。それは「マタニティブルー」かもしれません。
マタニティブルー(医学的には「マタニティブルーズ」と呼ばれます)は、出産後の数日から2週間ほどのあいだに起こりやすい、一時的な気持ちの揺れです。多くの場合は、時間とともに自然におさまっていきます。あなたの性格が弱いからでも、母親に向いていないからでもありません。この記事では、マタニティブルーとは何か、症状、いつからいつまでか、妊娠中に使われる場合の考え方、そして夫ができることを、自治体などの公的な情報をもとにまとめました。
この記事でわかること
- マタニティブルーとは何か、どんな症状が出やすいか
- マタニティブルーはいつから始まり、いつまで続くのか
- 妊娠中に「マタニティブルー」と言われるときの考え方
- 夫・パートナーができることと、かける言葉の例
- 2週間を超えてつらいときの相談先
マタニティブルーとは?産後に起こりやすい一時的な気持ちの揺れ
マタニティブルーとは、出産後に起こる一時的で軽い気分の落ち込みや不安定さのことです。まずは、言葉の意味と、どのくらいの人に起こるのかを整理します。
マタニティブルー(ズ)の意味
自治体の母子保健の資料では、マタニティブルーズを「産後3〜10日ごろに起こる、一時的な軽い抑うつ状態」と説明しているものがあります(松戸市の産後のこころについての資料)。出産による体の大きな変化、母親になったことによる環境の変化、育児の疲れなどが重なって、涙もろくなったり、わけもなくいらだったり、気持ちが不安定になったりします。
宮城県の子育て情報では、産後うつに似た症状が出るものの病気ではなく、出産直後のホルモンの変化による一時的な気分の変動とされています。「ブルー」は英語で「憂うつ」という意味で、「ズ」がつくのは複数の気分の揺れをまとめた言い方です。ふだんは「マタニティブルー」と呼ばれることが多く、この記事でも同じ意味で使います。
どのくらいの人が経験する?
広島市の母子保健の案内では、産婦さんの約25〜30%が経験するとされています。一方で、資料によって数字には幅があります。松戸市の資料では「初産婦のほとんどが経験する」とも書かれています。数字は調べ方や定義で変わるため、「珍しいことではなく、多くの人が通る」と受け止めておくと安心です。
なりやすい人・ならない人
なりやすさには個人差が大きく、産後に何も感じなかった人もいれば、強く出る人もいます。ならなかったからといって、問題があるわけではありません。逆に、なったからといって、特別に弱いわけでもありません。ここで示した割合も、あくまで「そういう人が一定数いる」という目安として読んでください。
マタニティブルーの症状:こんな気持ちや体の変化が出やすい
症状の出方は人によって違います。ここでは、自治体の資料などで挙げられている代表的なものを、気持ちと体に分けて紹介します。
気持ちに出やすい変化
- 気分が変わりやすい、わけもなく涙が出る
- 不安や緊張が強くなる
- いらいらして、身近な人にあたってしまう
- やる気が出ない、何も手につかない
北海道の資料では、気分が変わりやすい、涙もろくなる、不安や緊張感、といった気持ちの変化が挙げられています。
体や頭に出やすい変化
- 物忘れ、集中しにくい
- 疲れやすい、頭痛がする
- 食欲がない
- 眠りたいのに眠れない
出産直後は、体の回復と授乳、夜中のお世話が重なります。もともと睡眠が足りない時期なので、症状がマタニティブルーなのか、単なる疲れなのか、自分では区別しにくいことも多いです。
自分では気づきにくい
本人は「こんなものかな」「私が弱いだけ」と思い込んでしまうことがあります。気づくための目安としては、気持ちの落ち込みや不安が2週間ほど続いていないか、食事・睡眠・育児など日々の生活に支障が出ていないか、の2つがあります。これはセルフチェックの目安で、診断ではありません。周りが変化に気づいたときは、評価せずに話を聞くだけで十分です。北海道の資料でも、赤ちゃんが最優先になりやすい時期だからこそ、母親の変化を見過ごさないことが大切だとされています。
マタニティブルーはいつから?いつまで続く?
「いつから始まって、いつ終わるの?」は、いちばん気になるところだと思います。時期の目安を、公的な資料から確かめました。
いつから:産後2〜3日ごろから
宮城県の資料では、出産後2〜3日から1週間以内に起こるとされています。松戸市の資料では産後3〜10日ごろに出るとされ、資料によって少しずれがあります。産後すぐから1週間ほどのあいだに出てくる、と覚えておけば十分です。
いつまで:多くは数日〜2週間ほど
宮城県の資料では、多くは数日から2週間程度で回復し、通常は治療は必要ないと説明されています。松戸市の資料でも、産後2週間ほどで軽くなることが多いとされています。つらい時期にも終わりがあると知っておくだけで、心に少し余裕が生まれる人もいます。
産後うつとの違いは「続くかどうか」
マタニティブルーと産後うつは、症状が似ています。大きな違いは続く期間と生活への影響です。松戸市の資料では、マタニティブルーズの症状が2週間以上続く場合は産後うつ病の可能性があると説明されています。北海道の資料でも、強い心理的な苦痛や家事・育児のしづらさが2週間以上続くときは、うつ病と診断される可能性があるとされています。
2週間を過ぎても気持ちが沈んだままの場合や、だんだん強くなってくる場合は、がまんせずに相談してください。これは診断ではなく、あくまで相談の目安です。
マタニティブルーは妊娠中にもある?
「マタニティブルー」という言葉は、妊娠中の不安や気分の落ち込みを指して使われることもあります。妊娠中の気持ちの揺れについて、考え方を整理します。
妊娠中に使われるときの意味
医学的には、マタニティブルーズは出産後の一時的な状態を指します。ただ、日常の会話や育児情報では、妊娠中のイライラや不安、涙もろさも「マタニティブルー」と呼ぶことがあります。妊娠中はホルモンの変化に加えて、体の変化、出産や育児への不安、仕事の調整などが重なります。気持ちが揺れるのは自然なことです。
妊娠中に気持ちがつらいときの考え方
妊娠中の落ち込みが産後のものと違うのは、「いつ終わるか」の目安がはっきりしない点です。眠れない、食べられない、2週間以上気持ちが沈んだままなどが続くときは、「マタニティブルーだから」と済ませず、妊婦健診のときに医師や助産師に話してみてください。妊娠中の相談先として、自治体の保健センター(こども家庭センター)も使えます。
マタニティブルーの過ごし方:産後の本人ができること
自然におさまることが多い時期だからこそ、「がんばらない」ことが最大の対処です。無理なく取り入れられる過ごし方をまとめます。
休むことを最優先にする
赤ちゃんが寝ているときは、家事より自分の睡眠を優先します。完璧を目指さず、食事は簡単なものやお惣菜でかまいません。「今は回復の時期」と考えて、手を抜くことを自分に許してあげてください。
気持ちを言葉にして、誰かに聞いてもらう
松戸市の資料では、ひとりで悩まず、夫、家族、友人、保健師などにありのままの気持ちを聞いてもらうことがすすめられています。うまくまとまっていなくても、「なんだか涙が出る」とそのまま伝えるだけで大丈夫です。
比べない・決めつけない
SNSで見かける「幸せそうな産後」と、自分の状態を比べる必要はありません。「こんなに悲しいのは、赤ちゃんを愛していないから」という考えも、マタニティブルーでよく浮かぶ思い込みの一つです。気持ちの揺れと、赤ちゃんへの愛情は別のものです。
マタニティブルーのとき、夫(旦那)ができること
マタニティブルーでは、いちばん近くにいる夫の関わり方が大きな支えになります。「何をすればいいかわからない」という夫向けに、具体的にまとめます。
早めに帰る・家事と育児を代わる
松戸市の資料には、しばらくのあいだ、できるだけ早く帰宅するように努めましょう、と書かれています。赤ちゃんから離れずに神経をすり減らしている時期なので、家族がいること、家事や育児を分担することが大きな支えになるとされています。
具体的には、次のようなことが役に立ちます。
- 夜のミルクやおむつ替えを代わって、まとまって眠れる時間をつくる
- 食事、洗濯、買い物を、言われる前に引き受ける
- 来客や親族への連絡を、夫が引き受ける
- 「何かやることある?」と聞くより、「今日は私が洗濯と夕飯をやるね」と決めて動く
話を聞くときのコツ
北海道の資料では、手伝えることがないか声をかけ、「困ったらすぐ助けるよ」という気持ちを言葉で伝えることがすすめられています。話を聞くときは、アドバイスや励ましを急がず、まず受け止めます。
かける言葉の例
そのまま使えるように、いくつか例を挙げます。
- たとえば、涙が出ているときは「泣いていいよ。理由はわからなくても大丈夫」と伝えてみる
- たとえば、自分を責めているときは「あなたのせいじゃないよ。産んだばかりで大変な時期だよ」と伝えてみる
- たとえば、疲れていそうなときは「今から2時間は私が見ているから、寝てきて」と伝えてみる
- たとえば、夫が何をすべきか迷うときは「今いちばん助かることは何?」と聞いてみる
避けたほうがよいのは、「気のせいだよ」「みんなやっていることだよ」「もっとしっかりしないと」といった言葉です。励ますつもりでも、「わかってもらえない」と感じさせてしまうことがあります。
夫が「理解できない」「どう接していいかわからない」とき
妻の様子が急に変わると、戸惑って当然です。わからないまま距離を置いてしまうと、妻は「ひとりにされた」と感じやすくなります。理解できなくても、そばにいて聞く姿勢を見せるだけで十分です。夫自身が困ったときは、保健師や助産師に「こういう場合、どう接すればいいですか」と聞いてもかまいません。
夫婦のあいだで起こりやすいすれ違いと、夫自身の気持ち
マタニティブルーの時期は、夫婦の会話がぎくしゃくしやすい時期でもあります。すれ違いが起きる理由と、夫側の気持ちにも触れておきます。
妻が夫(旦那)にいらだつのは、気持ちの揺れのせいでもある
「夫の言い方にイライラする」「何もしてくれない気がする」と感じることがあります。ホルモンの変化と睡眠不足が重なると、ふだんなら流せることも許せなくなるのは自然です。夫の側は「責められた」と受け取らず、「今は余裕がない時期なんだ」と受け止められると、衝突が減ります。妻の側も、落ち着いたときに「あのときはごめんね、余裕がなかった」と伝えられると、関係が回復しやすくなります。
夫にも気分の変化が起こることがある
北海道の資料では、父親にも似た気分の変化が出ることがあり、「パタニティブルー」と呼ばれていると紹介されています。頻度は女性より低めとされています。眠れない、仕事に集中できない、家に帰りたくない気持ちがある、などが続くときは、夫自身も相談してください。男性の不調については、男性の産後うつの記事も参考にしてください。
旦那がわかってくれないと感じるとき
「旦那がわかってくれない」と感じる背景には、夫が悪気なく「何をすればいいかわからない」状態にあることも少なくありません。察してほしい気持ちを抱えたままにせず、「いまはこれがつらい」「これをしてほしい」と短く具体的に伝えるほうが、伝わりやすくなります。それでも話がかみ合わないときは、保健師や助産師に間に入ってもらう方法もあります。妊娠中のいらだちが夫に向く場合は、妊娠中のイライラが夫に向くときも参考になります。
話し合いの言い方の例
落ち着いたときに、どちらからでも使える言い方の例です。
- たとえば「いま、こういう気持ちなんだ。解決してほしいわけじゃなくて、聞いてほしい」と伝えてみる
- たとえば「手伝うって言ってくれて助かった。次は夜の担当も相談したい」と伝えてみる
- たとえば「責めたいわけじゃなくて、2週間だけ一緒に乗り切りたい」と伝えてみる
マタニティブルーが2週間以上続くとき:相談の目安と相談先
多くは自然におさまりますが、そうでないケースもあります。相談を考える目安と、頼れる窓口をまとめます。
相談を考える目安
次のような様子が続くときは、早めに相談してください。診断ではなく、相談のきっかけとして使ってください。
- 気持ちの落ち込みが、産後2週間を過ぎても続いている、または強くなっている
- 眠れる時間があっても眠れない、ほとんど食べられない
- 赤ちゃんの世話がつらくて手につかない
- 何をしても楽しいと思えない
- 自分を強く責めてしまう
公的な相談先
- お住まいの市区町村の保健センター(こども家庭センター)の保健師・助産師。新生児訪問や育児相談の機会に話すこともできます
- 出産した産婦人科、かかりつけの医師、助産師
- 気持ちの不調が強いときは、心療内科・精神科、都道府県などの精神保健福祉センター
- 夫婦の関係やコミュニケーションの悩みは、カップルカウンセリングなど、心理の専門家に相談する選択肢もあります
宮城県の資料でも、産後うつが心配なときは、家族やかかりつけの医師、市町村の保健師・助産師に相談することがすすめられています。過去にうつ病などになったことがある人は、再発しやすいため、必ず主治医に伝えてください。
いますぐ助けが必要なとき
「消えてしまいたい」「赤ちゃんと一緒にいるのがこわい」など、強いつらさや死にたい気持ちがあるときは、今すぐ助けを求めてください。厚生労働省のまもろうよ こころでは、電話やSNSの相談窓口が案内されています。命に危険を感じるときは、迷わず119番に連絡してください。
よくある質問
マタニティブルーについて、よく検索される疑問に答えます。
Q. マタニティブルーはいつからいつまでですか?
多くは産後2〜3日から1週間以内に始まり、数日から2週間ほどで軽くなるとされています(宮城県、松戸市の資料)。2週間を超えて続くときは、産後うつの可能性もあるため、保健師や医師に相談してください。
Q. マタニティブルーとは、病気ですか?
宮城県の資料では、病気ではなく、出産直後のホルモン変化による一時的な気分の変動と説明されています。通常は治療を必要としません。ただし、症状が長引くときは、別の状態の可能性もあります。
Q. マタニティブルーは、妊娠中にもなりますか?
医学的には産後の状態を指しますが、妊娠中の不安や気分の落ち込みを「マタニティブルー」と呼ぶことは日常的にあります。妊娠中の気持ちのつらさが続くときは、妊婦健診で医師や助産師に伝えてください。
Q. マタニティブルーで夫に当たってしまうのは、おかしいですか?
おかしくありません。ホルモンの変化と睡眠不足が重なると、いらだちが身近な人に向かいやすくなります。落ち着いたときに「余裕がなかった」と伝えられると、関係を立て直しやすくなります。
Q. 夫がマタニティブルーの妻に何もしてあげられないと感じるときは?
そばにいて話を聞く、早く帰る、家事や夜のお世話を代わる、といったことが大きな支えになります。「何をすればいい?」と聞く代わりに、具体的に動いてみてください。
Q. 男性もマタニティブルーのようになりますか?
「パタニティブルー」として、父親にも似た気分の変化が起こることがあるとされ、頻度は女性より低めと北海道の資料で紹介されています。眠れない、気持ちが重いなどが続くときは、夫自身も相談してください。
まとめ
マタニティブルーは、出産後の数日から2週間ほどに起こりやすい、一時的な気持ちの揺れです。ひとりで抱えず、できるところから整えていきましょう。
- マタニティブルーは多くの人が経験する、産後の一時的な気持ちの揺れで、通常は数日〜2週間ほどでおさまる
- 夫は、早く帰る、家事と夜のお世話を代わる、急いで励まさず話を聞く、といった具体的な行動で支えられる
- 2週間を超えても続く、または強くなるときは、保健師・医師・助産師に相談する。強いつらさがあるときは、すぐに公的な窓口へ
つらい気持ちは、あなたのせいではありません。ふたりで、少しずつ整えていきましょう。