子供に怒りすぎてしまう時の対処法と謝り方
「また怒りすぎてしまった」と、子どもが寝たあとにひとりで自分を責めていませんか。子供に怒りすぎてしまう悩みは、まじめに子どもと向き合っている人ほど抱えやすいものです。
先に結論をお伝えします。子供に怒りすぎてしまうのは、性格の欠点ではなく、疲れや余裕のなさ、育ってきた経験が重なって起きやすいことです。怒りを「なくそう」とするより、爆発する前に離れる工夫と、怒ったあとに関係を戻す一言を持っておくほうが、現実的に楽になります。 自分を責めすぎず、ふたりで支え合う方法もあわせてまとめました。
この記事でわかること
- 子供に怒りすぎてしまう背景(疲れ・余裕のなさ・自分が育った経験)
- 怒りが爆発する前にできる工夫と、小学生のときに気をつけたいこと
- 怒りすぎたあとの子どもへの謝り方と、後悔・自己嫌悪との付き合い方
- 夫婦で支え合う方法と、そのまま使える言い方の例
- 気になるときの受診の目安と、体罰・暴言が止められないときの相談先
子供に怒りすぎてしまうのは、あなただけではありません
怒りすぎたあとの苦しさは、「ダメな親だ」という思いにつながりやすいものです。まずは、この悩みがめずらしくないことを確認しましょう。
厚生労働省の検討会がまとめた「体罰等によらない子育てのために」(令和2年2月)には、「子どもに腹が立ったり、イライラしたりすることは、子育て中の保護者の多くが経験するもの」と書かれています。体罰や暴言をしてしまう保護者も、さまざまな思いや悩みを抱えているとも述べられています。
つまり、怒りが湧くこと自体は、特別なことではありません。問題にしたいのは「怒りが湧くこと」ではなく、「怒りが大きくなりすぎて、自分も子どもも苦しくなること」のほうです。
子供に怒鳴ってしまうのは、愛情がないからではない
怒鳴ってしまったあとに強く後悔するのは、子どものことを大切に思っている証拠でもあります。後悔があるからこそ、「次は違うやり方をしたい」と考えられます。
ただし、後悔や自己嫌悪が長く続くと、心がさらに疲れて、また余裕がなくなるという悪循環になりがちです。この記事では、責めるのではなく、次の一回を少し変える方法に絞ってお伝えします。
子供に怒りすぎてしまう背景にあるもの
怒りすぎてしまうとき、その場の子どもの行動だけが原因とは限りません。背景を知ると、「自分はダメだ」から「いまは余裕がなかったのかも」に見方を変えやすくなります。
睡眠不足や疲れで、気持ちを抑える力が落ちている
寝不足や疲れがたまっていると、ふだんなら流せることにも反応しやすくなります。前述の厚生労働省の資料も、否定的な感情が出たときに、子どものことが原因なのか、自分の体調の悪さや忙しさ、孤独感など自分自身のことが関係しているのかを振り返ることを勧めています。
たとえば、朝の支度でバタバタしている、仕事で疲れて帰ってきた、といった日は、同じ子どもの行動でも怒りの量が大きくなりやすいものです。
時間と気持ちの余裕がない
「早くしなさい」を何度も言っている場面は、時間の余裕がないときに多く見られます。急いでいるのは大人の事情で、子どもにはその切迫感が伝わりにくいため、言葉が強くなっていきます。
怒りが増える日は、ストレスの原因そのものを減らす視点も役に立ちます。たとえば、予定を詰めこみすぎない、家事の基準を一段下げる、頼れる人に一部を任せるなど、「余裕を取り戻す」ことは、怒りの回数を減らす近道です。幼い子の元気いっぱいな時期の悩みは、イヤイヤ期のイライラの記事も参考になります。
言っても伝わらないことが続いている
何度言っても動いてくれない、聞いてくれない、という状況が続くと、「どうしてわかってくれないの」という気持ちが積もっていきます。同じ資料には、言葉で何度言っても言うことを聞かない、年齢に応じた行動が見られないといった場面が、保護者がつらくなる例として挙げられています。
子どもには、年齢や発達によって、できることとできないことがあります。大人の指示が理解できず、結果として「言うことを聞かない子」に見えることもあるとされています。
自分が育った経験が影響することもある
子どものころに親から強く叱られて育った人は、「自分もそうされたから」という感覚と、「自分は同じことをしたくない」という思いの間で揺れることがあります。ふだんは意識していなくても、余裕がなくなったとき、身についた言い方が出てしまうことがあります。
これは「育ちのせい」と決めつけるための話ではありません。自分の反応のクセに気づくための手がかりです。気づければ、少しずつ選び直すことができます。
子供に怒鳴ってしまうと、子どもにどんな影響がある?
厚生労働省の資料では、体罰によって子どもの行動が変わっても、それは恐怖心から動いた姿で、自分で考えて行動した姿ではないと説明されています。怒鳴りつけることや心を傷つける暴言も、子どもの健やかな成長・発達に悪影響を与える可能性があるとされています。
ただし、これは「一度怒鳴ったら取り返しがつかない」という意味ではありません。怒鳴る回数を減らしていくことと、怒ったあとに関係を戻すことが、子どもにとっても支えになります。次の章以降で、その具体的な方法をお伝えします。
怒りが爆発する前にできる工夫
怒りは、爆発してから止めるのが一番むずかしいものです。「もう限界」になる手前で、先に動く方法を持っておきましょう。
まず、その場を少し離れる
厚生労働省の資料では、時間や心に余裕がないときの工夫として、深呼吸して気持ちを落ち着ける、ゆっくり5秒数える、窓を開けて風にあたって気分転換する、といった方法が例に挙げられています。時には保護者自身が休むことも大切だとされています。
子どもの安全が確保できる場面なら、別の部屋やベランダに数十秒でも離れてみる方法もあります。離れる前に「ママ(パパ)、ちょっと落ち着いてくるね」と伝えておくと、子どもが置いていかれたと感じにくくなります。
離れているあいだに、「いま、怒りの奥にある気持ちは何だろう」と自分に問いかけてみるのもひとつの方法です。怒りの下には、不安、悲しさ、さびしさ、疲れが隠れていることもあります。名前をつけられると、怒りの勢いが少し弱まることがあります。
怒りが出た場面を書き出して、パターンを見つける
怒りの記録(アンガーログ)と呼ばれる方法があります。怒りが出た時間、場面、そのとき感じたこと、怒りの強さを、メモに一言ずつ残すだけです。続けていくと、「夕方の空腹の時間帯に多い」「寝不足の翌日に多い」といった自分のパターンが見えてきます。
パターンがわかれば、前の晩に早く休む、夕方は先に軽く食べるなど、先回りして手を打てます。毎日続けられなくても、気になった日だけで十分です。
伝え方を「禁止」から「してほしいこと」に変える
同じ資料には、子どもに伝えるときは、大声で怒鳴るよりも、「ここでは歩いてね」のように肯定文で何をすべきかを具体的に、穏やかに、近づいて、落ち着いた声で伝えると伝わりやすい、とあります。
たとえば「走らないで」ではなく「ここは歩こうね」、「散らかさないで」ではなく「おもちゃは箱に入れようね」と言い換えます。怒りの強さを下げるだけでなく、子どもにも「どうすればいいか」が伝わりやすくなります。
怒りやすい場面を、先に減らしておく
怒りが出やすい時間帯や場面は、人によって決まっていることがあります。朝の支度、夕方の食事前、宿題の時間などです。
- 朝の準備を前の晩に済ませておく
- 夕方は、無理に完璧な献立にしない
- 子どもが困っている様子なら、置き場所を決めるなど環境のほうを変える
子どもが困った行動をするとき、子ども自身も困っていることがあります。環境を整えると、叱る場面そのものが減ることもあります。
完璧を目指さず、少しだけ減らす
「怒らない親」を目指すと、一度怒っただけで挫折感が大きくなります。目標は「ゼロ」ではなく、「爆発の回数を少し減らす」「怒ったあとに戻す」くらいで十分です。
小学生の子どもに怒りすぎてしまうとき
小学生になると、言い返したり、口ごたえしたりするようになり、親子の言い合いが長引きやすくなります。幼児期とは違う難しさがあります。
言い返してくるときは、勝ち負けにしない
小学生は、自分の考えが出てくる時期です。口ごたえは、成長のひとつの形でもあります。言い合いが熱くなってきたら、「いまはお互い熱くなっているから、5分後にもう一度話そう」と区切る方法があります。
「あとで話す」約束をする
その場で決着をつけようとすると、言葉が強くなります。落ち着いてから、子どもの話を聞く時間を取りましょう。厚生労働省の資料でも、子どもに問いかけをしたり、相談をしながら、どうしたらよいかを一緒に考えることが勧められています。
人前や他のきょうだいの前で責めすぎない
けなしたり、辱めたり、笑いものにするような言い方は、子どもの心を傷つけ、子どもの権利を侵害する行為だと厚生労働省の資料に書かれています。「どうしてあなたはいつも」「ほんとにダメな子」といった、人格を否定する言い方は特に避けたいところです。
怒りたい気持ちは受け止めつつ、「やってほしいこと」を短く伝える形に切り替えていきましょう。
怒りすぎたあと、子どもにどう謝る?
怒りすぎたと気づいたとき、「謝ったら親の威厳がなくなる」と心配する人もいます。けれど、謝ることは、子どもに「失敗したら直せる」と見せる機会にもなります。
謝り方の例
謝るときは、子どもが落ち着いてから、短く、具体的に伝えます。たとえば次のような言い方です。
- 「さっきは大きな声で怒鳴ってごめんね。びっくりしたよね」
- 「あなたが悪い子だから怒ったんじゃないよ。ママ(パパ)が疲れていて、うまく言えなかったの」
- 「宿題をやってほしかったことは、本当だよ。次は怒鳴らずに言うようにするね」
謝るときのポイントは、「怒った理由」と「怒り方の問題」を分けて伝えることです。やってほしかったことまで取り消す必要はありません。ただ、怒鳴ったことや、人格を否定するような言い方をしたことは、別に謝ります。
謝れなかった日があっても大丈夫
怒った直後は、親も気持ちが落ち着いていません。寝る前や翌朝に、一言伝えるだけでも十分です。年齢の小さい子には、抱きしめたり、いつもどおり接したりすることでも、関係は戻っていきます。
子供に怒鳴ってしまう後悔と、自己嫌悪との付き合い方
後悔や自己嫌悪が出てきたときは、次のことを試してみてください。
- 「ダメな親」と考えそうになったら、「今日は余裕がなかった」と事実だけに言い換える
- 紙やスマホのメモに、怒りが出た場面と時間帯を書く。同じ場面が見えてくると、先に手を打てる
- 子どもが寝ているあいだに、自分がほっとできることを5分だけする
自己嫌悪は、「変わりたい」という気持ちの裏返しでもあります。責めるエネルギーを、次の一回の工夫に向けていきましょう。
夫婦で支え合う方法
怒りすぎてしまう悩みは、ひとりで抱えるほど重くなります。パートナーと分け合えると、余裕が戻りやすくなります。
ふたりで話すときの言い方の例
責められているように聞こえないよう、「してほしいこと」を具体的に伝えます。
- 「最近、怒りすぎてしまう自分がつらいんだ。解決策がほしいわけじゃなくて、まず聞いてほしい」
- 「夕方の忙しい時間だけ、15分子どもを見てもらえると助かる」
- 「私が怒鳴りそうになったら、『代わるよ』と声をかけてもらえるかな」
話す側は「責めたい」のではなく「助けてほしい」を伝えるつもりで、聞く側も「どうしてそうなるの」と原因を問い詰めず、まず気持ちを受け止める形にすると、話しやすくなります。しつけの考え方がふたりで違うことが、怒りの背景にある場合は、子育ての方針が夫婦で違うときの記事も読んでみてください。
パートナーができること
- 子どもを見る役割を、家事とセットで交代する
- 怒りが強くなっている様子に気づいたら、責めずに「代わるよ」と声をかける
- 休日に、子どもを見るから、ひとりで出かけてきてと提案する
- 相手の怒り方を子どもの前で批判せず、あとでふたりのときに話す
子どもの前で言い合いにならないために
子どもの前で夫婦が意見をぶつけ合うと、子どもは二重に緊張します。怒りの場面で相手が入ってきたときは、その場では言い返さず、子どもが寝てからふたりで話す約束にしておきましょう。
気になるときの受診の目安(病気かどうかは自分で決めなくていい)
「怒りすぎるのは何かの病気では」と心配になる人もいます。ここで診断はできませんが、医療機関や相談窓口を頼ってよい目安をお伝えします。
こんな状態が続くときは、早めの相談を
- 眠れない、食欲がない、気分の落ち込みが2週間以上続いている
- 何をしても楽しめない、涙が出やすい
- 怒りの感情を自分では止められず、日常生活に支障が出ている
- 子どもを傷つけてしまいそうで怖い
- 消えてしまいたい、死んでしまいたいと考えることがある
怒りっぽさが、心や体の不調と関係していることもあります。気になるときは、産婦人科・心療内科・精神科などの医療機関や、お住まいの自治体の保健センターに相談してみてください。診断や治療は医師が行うものです。ここで判断はせず、早めに専門家に話してみることが、いちばんの近道です。
いますぐ助けが必要なとき
死にたい気持ちや、いまの状況から逃げ出したいほどのつらさがあるときは、ひとりで抱えないでください。
厚生労働省「まもろうよ こころ」には、電話やSNS・チャットで相談できる窓口が並んでいます。24時間対応の窓口も含まれます。
体罰や暴言が止められないときの相談先
手が出てしまう、怒鳴るのをやめられない、と感じているときは、早めに外の力を借りましょう。相談することは、責められる行為ではなく、子どもを守るための行動です。
知っておきたい前提
令和2年4月から、親などが子どものしつけに際して体罰を加えてはならないことが法律に明記されています。厚生労働省の資料では、体罰によって子どもの行動が変わっても、それは恐怖心から動いた姿で、自分で考えて行動した姿ではないと説明されています。また、怒鳴りつけることや心を傷つける暴言も、子どもの健やかな成長・発達に悪影響を与える可能性があるとされています。
同じ資料は、保護者を罰したり追い込んだりすることが目的ではなく、体罰等によらない子育てを社会全体で支えるための内容です。つらいと感じたら、相談してよい仕組みが整っています。詳しくは「体罰等によらない子育てのために」(こども家庭庁掲載)で読めます。
相談できる窓口
- 市区町村の子育て相談窓口、保健センター、こども家庭センター。乳幼児健診や訪問のときにも相談できます
- 児童相談所の相談専用ダイヤル 0120-189-783(無料)。虐待に限らず、子どもの福祉に関するさまざまな相談を受け付けています
- 児童相談所虐待対応ダイヤル「189」。虐待かもしれないと思ったときに、地域の児童相談所につながる全国共通の番号です。匿名でも相談でき、秘密は守られます。詳しくはこども家庭庁のページにあります
- 親子のための相談LINE。子育てや親子関係に悩む保護者が、匿名で相談できます
- カップルや夫婦の関係、気持ちの整理については、カップルカウンセリングや心理の専門家
子どもの安全が脅かされているときは、迷わず189に電話してください。
よくある質問
Q. 子供に怒りすぎてしまうのは、病気ですか?
怒りやすさだけで、病気かどうかは判断できません。疲れや睡眠不足、ストレスでも起こります。ただ、気分の落ち込みや眠れない状態が続くとき、怒りが止められず生活に支障があるときは、医療機関や自治体の窓口に相談してください。
Q. 子供に怒りすぎてしまうのは、いつまで続きますか?
子どもの年齢や、自分の疲れ、環境によって変わるため、「いつまで」とは言い切れません。ただ、怒る前の工夫を持ち、疲れを減らし、支えてくれる人を増やすことで、爆発の回数を減らしていくことはできます。
Q. 夫(妻)に怒りすぎを責められるのがつらいです。
責められると、余裕がさらになくなります。「責められると苦しくなるので、助けてほしいと言い方を変えてもらえるとうれしい」と、してほしい形で伝えてみてください。ふたりで話しにくいときは、第三者を交えるのもひとつの方法です。
Q. 怒ったあと、子どもに何も言えないままです。
今からでも遅くありません。「あのときは怒りすぎてごめんね」と、寝る前や翌日に一言伝えましょう。小さな子どもには、抱きしめたり、いつもどおりに接したりすることでも、気持ちは伝わります。
Q. 小学生の子どもに怒鳴ってしまい、反抗されます。
口ごたえは成長のひとつの形です。熱くなったら「5分後にまた話そう」と区切り、落ち着いてから「してほしいこと」を短く伝えましょう。人格を否定する言い方は避けたいところです。
Q. 手が出そうになるほど怒りが強いときはどうすれば?
子どもの安全が確保できる範囲で、まずその場を離れてください。そして、市区町村の窓口や児童相談所の相談専用ダイヤル、189に早めに相談してください。相談することは、子どもを守るためのとても大切な行動です。
まとめ:子供に怒りすぎてしまう自分を、責めすぎなくて大丈夫
子供に怒りすぎてしまうとき、いちばん大切なのは、自分を責め続けないことと、ひとりで抱えないことです。
- 怒りすぎてしまう背景には、疲れ・余裕のなさ・伝わらないもどかしさ・自分が育った経験があり、あなたの性格だけの問題ではありません
- 爆発する前にその場を離れ、「してほしいこと」を肯定文で伝える工夫が、現実的な助けになります
- 怒りすぎたあとは短く謝って関係を戻し、夫婦で分け合い、体罰や暴言が止められないときは早めに相談しましょう
怒りすぎてしまう日があっても、そのあとに関係を戻そうとしているあなたは、もう十分に子どもと向き合っています。