4年生のAくんは、家でも学校の先生にもヘルパーさんの中でも「モンスター」として扱われ、誰もがどう対応して良いのか途方に暮れていたお子さんでした。区のヘルパー事業所の職員の方から私に連絡を頂き、支援につながりました。

そんなAくんがABAに出会い、目を見張る成長を遂げた感動のお話を共有させて頂きます。


「Aくんの不登校を解決したいんです。ABAで、対応できませんか。」

区のヘルパー事業所の方から、相談の連絡を頂いたことが始まりでした。

Aくんは入学時に数回学校へ行ったきり、それ以降行くことができず、外出もヘルパーさんが来てくれる週2回、レンタルビデオショップへいくことのみに限られています。

行動の原理を説明して、ご家族に許可を取り事前に綿密な聞き取りを行ない、彼の抱える課題は、緊急度の高い行動的な課題であるということがわかったので、

「彼のケースに対応できるのは、おそらくABAしかないと思います。ぜひお願いします。」

とお返事をし、Aくんのご自宅へ向かいました。


 

Aくんとの初顔合わせでは、Aくんの様子を観察します。

「こんにちは」と言って部屋に入ると、彼はリビングでごろんと寝ながらちらっとこっちをみました。

私が座って、一旦しきりなおして「こんにちは」と言い、「A君、起きてごあいさつできるかな?」といって背中を軽くぽんとすると、火がついたように、彼はありったの力で叫び、怒り、泣きながら拒否をしました。怒りながら、私を叩きにきたり、それを避けると、今度は自分の頭を床に打つ付けていました。

 

「指示」やそれに「従う促し」が刺激となったようです

 

お子さんに大きな声で泣かれ、叫ばれたりするのは誰だって堪え難いことです。それゆえ、そういう場面になると、もしくは癇癪になる前に、Aくんの要求はなんでも叶えられてきました。「泣いて大きな声をだせば要求を叶えられる」という経験をたくさん積み、「泣いて大声を出して要求する」と言う行動をあまりに長い期間、強化され続けてきたのです。

この事実から、Aくんの癇癪行動を分析すると、指示や促しが癇癪行動の刺激となり、また癇癪行動の結果起こる「自分の思い通りになる」ことが好子となっている可能性が推測できます。

 

それゆえ、ご家族は完全にAくんのいいなりで、通常4年生の子どもができることの多くが「できない」正しくは「させられない」状況でした。

・外出はしない。もちろん学校へも行かない。(家でゲームをしたい。ビデオを見たい。)

・ご飯は食べさせてもらう。(自分で食べれない)

・髪の毛や爪は切れない。

・おむつを履いている。

・歯磨きはしない。

・飲み物はスポーツ飲料とヤクルトだけ。

・鉛筆は持たない。字はかけない。

 

これらをさせようと、少しでも「やってみよう」「行ってみる?」「一口食べてごらん?」など言おうものなら、「ごあいさつできるかな」の時に起こったような大癇癪を起こすのです。それは、軽い地震が起こったかのような、家が揺れるほどの大癇癪です。

 

これはご家族も本人もとても大変そうでした。

ご家族やヘルパーさんにお話を伺いながら、手立てを考えます。

 


Aくんの方針は「癇癪に対しては、消去(反応しない)を基本に、新しい適切な行動を同時に教えていく方針で「大人の指示に従う」ことを獲得する。」となりました。

ただ4年生の男の子の癇癪に「消去」の対応を取るのは、通常危険であり、(なぜなら、消去を始めると、行動が一時的に強度を増す「バースト」を起こすからである。)取るべきではありません。ただ彼の場合、家の中でゲームがDVDを見ている毎日なので、体は大きいが、筋力がなく、力が本当に弱かった。私の体感としては年中さんぐらいであり、彼の攻撃行動は片手でも阻止できるものでした。なので、バーストを起こしたとしても危険ではないだろうと踏んだのです。

並行して、まずは彼のビデオを見ている体勢でできる一番簡単なこと(テレビを見ているAくんの手に積み木を持たせて「入れて」の指示で積み木を離してもらい手の下の箱に入れさせた)をさせます。できたら彼は妖怪ウォッチシールをどんどん手に入れていきます。

このように、彼にとって努力コストの低い行動から、少しずつハードルを上げていきながら「大人の指示に従う」ことを教えていくことで、これまで癇癪を起こす刺激となっていた「〜しよう」「やってごらん」などの言葉に慣れていきます。

 

2回目の訪問でも同様に行うことで、いろいろなことができるようになっていきました。

・鉛筆をもつ
・なぞり書き
・ひらがな模倣
・簡単な漢字を読む
・絵本を読む
・爪をきる
・質問に答える

これらは、ABAを行う前はとても困難で、できなかったことです。
(能力的にはできましたが、それをさせることができなかったと言うことです。)

今では「できた!」ことでいっぱい褒められて、嬉しそうな顔をして、自分から課題をしようとする様子もみられるようになりました。

 

正直、Aくんの初回の様子だと、かなり長い間強化され続けてきたことでしたので、Aくんの大変さや戸惑いもすごく分かるし、彼の行動や生活習慣に変化を起こすのにはもう少し時間がかかることも想定していました。

しかし、2週間で、彼のできることがみるみる増え、
なんと3回目ではお外にも出ることができました。

それまでは、誘ってみても「お外こわい」といって泣いて叫んで外にでることを拒否していましたが、お外にでられるようになってからは、外の世界を目一杯楽しんでいます^^

 

実際にお外に出るまでのお話は後編に続きます。